ダウンタウン・ブギウギ・バンドはご存知だろうか?たぶん知っていると思うが、もし知らない人がいたらいけないので一応解説すると、宇崎竜童のバンドである。今やすっかり丸くなって優しい感じのちょいワル親父、俳優としても活躍する宇崎竜童だが、その昔は暴走族を思わせる特攻服みたいなツナギを着てバンドをやっていた。このファッションは、その後、初期の所ジョージや紳介竜助、横浜銀蝿にも影響を与えたと思われる。
デビュー曲は大ヒットした「港のヨーコ、ヨコハマ、ヨコスカ」という名曲である。作詞は宇崎竜童の奥さんの阿木曜子さん。天才である。
そんなダウンタウン・ブギウギ・バンドの初期のヒット曲に「スモーキング・ブギ」がある。今回紹介する「禁煙音頭」はそのパロディというか替え歌。メロディはそのままである。歌っているのは竜ヶ崎宇童(実はラッツ&スターでデビュー前の鈴木雅之)である。いったい誰がこの曲を作ったのか?
「禁煙音頭」
改詞:大瀧詠一(※1)/作曲:宇崎竜童/編曲:多羅尾伴内(※2)/竜ヶ崎宇童
(※1)改詩が「あらいたけし」または「新井武士」名義の場合もある
(※2)編曲が「大瀧詠一」名義の場合もある
そう、大瀧詠一である。パロディソングの第一人者と言えば大瀧詠一なのである。これ以外にも「河原の石川五右衛門」や「うなづきマーチ」が有名だが、それはまた別の機会に。
「禁煙音頭」は「スモーキング・ブギ」の逆転の発想。タバコを吸う歌を禁煙の歌にしただけ。普通はそれだけなのだが、音楽的にも「ブギ」から「音頭」へ変更されているのが凝っていてうれしい。
では本歌と比べながら歌詞を見ていこう。
「初めて試したタバコがショートピース」→「長年吸ってた煙草がロングホープ」
この最初のフレーズから飛ばし過ぎ。真逆である。
「たちまちめまいでクラクラ、飯も食えず」→「たちまち気分が爽快、ご飯がうまい」
この切り返しも全く逆で面白い。
「目覚めの一服 食後の一服 授業をさぼって 喫茶店で一服
風呂入って一服 クソして一服 そいでまたベッドで一服
朝から晩まで スモークング・ブギ Hoo Paa Dura スモーキング・ブギ」
↓
「目覚めて禁煙 食後も禁煙 会社で禁煙 喫茶店で禁煙
風呂入って禁煙 クソして禁煙 ベッドで タバコは 吸わないで
朝から晩まで 禁煙音頭 Keep Clean and ザ禁煙音頭」
ここで「そいでまたベッドで禁煙」とせず「ベッドでタバコは吸わないで」とあるのは沢たまきの「
ベッドで煙草を吸わないで
」から持って来たフレーズ。こういう細かいところうまいね。
本歌は学生(高校生?)がタバコを吸い始める歌だが、禁煙音頭は会社員が禁煙する歌である。「学生」対「会社員」、「タバコ初めて」対「長年の愛煙家」真っ向から本歌をひっくり返している。すごい!
で最終的にこうなる。
「いつの間にやら 禁煙 三日坊主 気がつきゃ 右手も真黄色 もとの木阿弥」
禁煙音頭の主人公は結局禁煙できずにもとに戻ってしまったようだ。しかし次の歌詞が意味わからん。
「たちまち すわりむら さかだちぐん とどうふけん」
大瀧詠一さんの替え歌はいつも凄まじいものがあり、また別の機会にも紹介します。
「禁煙音頭」は今でも入手可能。
なお、この曲は2008年にスウィング調にアレンジされ「禁煙スウィング」というタイトルでゴスペラーズとラッツ&スターの選抜メンバーによるユニット「ゴスペラッツ」名義で着うた配信された。